原発で避難指示を受けている方のNHK受信料の免除について(2014年11月現在)

埼玉県内へ避難している方向けに、福玉便りという情報紙があります。その第30号(2014年11月号)に、NHK受信料の免除について記事がありました。福玉便りの10月号で取り上げたところ、免除措置を知らなかったという声が上がり、埼玉県内ではかなり反響があったということです。そのため当サイトでも記事にさせていただきました。

(1)「2011年3月11日段階でNHKと受信契約」をしており、(2)「1ヶ月以上の避難指示を受けている方」は、2014年11月現在でも受信料の免除措置が受けられます。

ただし残念なことに、震災後の分離世帯や自主避難は対象になっていません。分離世帯は要件(1)を充たしていない、自主避難は要件(2)を充たしていないという理由のようです。

なお既払分の取り扱いが気になるところですが、(法律論はさておき、現実的な対応として)受信契約の当事者間の個別事項にあたるので、NHKに申し出て交渉する(自己申告する)ことが大前提になります。

NHKのホームページを見る限り、東日本大震災における受信料の免除には「免除の手続き」が必要ですので、免除措置に該当すると思われる方はまずはNHKに連絡されることをお勧めします。

▼関連ページ
福玉便り30号[PDFの8ページ目]
「東日本大震災」における放送受信料の免除について(NHK・平成24年6月1日)
受信料に関するお問い合わせ(NHKの連絡先)
震災に関する各弁護士会の相談窓口一覧


追記<法律論と現実的な対応について>

法律論が気になる方もおられると思うので、一応書いておきます。前半部分の裏面(?)的な記事としてお読み下さい。

今回のケースの場合は、返還請求権が発生しており、時効にもかかっていない(請求権は消えていない)ので、交渉次第で返してもらえる可能性はあると考えられます。


1・法律上は「非債弁済」(債務がないのに弁済として給付すること)に該当するので、不当利得返還請求権(民法703条・704条)が発生します。

2・債務がないことを「知って」弁済した場合は不当利得の返還請求ができないという例外規定(民法705条)がありますが、今回は「知らない」ので該当しません。また、民法706条から708条にある他の例外規定にも該当しません。

返還請求権が発生しています。


3・不当利得返還請求権は、通常の債権と同様に「10年」の消滅時効にかかります(民法167条1項)。

4・不当利得返還請求権は、権利発生と同時に消滅時効の進行が始まります。非債弁済の場合も同様です。(判例:大判昭和12.9.17 民集16巻1435頁

毎月の受信料を考えても、(震災から3年数ヶ月ですので)最長でも3年数ヶ月であり、10年は経過していないので返還請求権は消滅していません。


5・時効の進行を止めるには、時効の中断を行う必要があります。

では何をすれば「時効の中断」にあたるかという話になりますが、3年数ヶ月の現段階で急いで法的措置を採る必要性はさほど高くないため、ここでは割愛します。ただし放置しておくと時効は進行しますので、ご注意下さい。


今回のケースの参考になるのが、受信料の過払い金のケース(例:衛星放送受信器がないのに衛星放送の契約をしたなど、「払わなくていい分まで払った」ケース)です。そちらのケースを拝察する限り、返してもらえる可能性はあると考えられます。(なお「不当利得だ!」と言及するよりも、「受信契約の当事者間の個別事項」という形でNHKにお願いするのが穏当です。)

免除措置に該当すると思われる方は、「支払い免除に当たるなら免除の手続きをしたい。免除に当たる場合、既に払った分はどうなるのでしょうか?」という形でNHKに連絡されるか、ご心配ならば、お近くの弁護士会・司法書士会・行政書士会・法テラス・市役所の法律相談などを利用して専門家に相談されることをお勧めします。(管理人 兼松)

▼関連ページ
福玉便り30号[PDFの8ページ目]
「東日本大震災」における放送受信料の免除について(NHK・平成24年6月1日)
受信料に関するお問い合わせ(NHKの連絡先)
震災に関する各弁護士会の相談窓口一覧

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